M&Aを活用して事業を伸ばしていきたいなら
こんにちは。物語工房の岡村です。
今日はM&Aを積極的に行なって行きたいと考えている買い手の皆さまに向けて、M&Aで成功するための私の考えを述べたいと思います。
この仕事をしていると、うまくM&Aを活用している事業者様とそうでない先様と差が激しいと感じる機会があります。
M&A?うちには関係ないよといった考えやM&Aをやるんだ!と息巻く割に話をするとピンボケしているような印象を受ける事業者がいたり、総じて食わず嫌いをしているように思える事業者様が非常にもったいないと思ったのです。
これからお伝えすることは私自身の見解になるのですが、最前線にいる人間の目線として、参考程度にご一読いただければと思います。
M&Aで成功したいなら再生M&Aを選択肢にせよ
M&Aを事業戦略の一つにしたいのであれば、再生M&Aを活用しない手はありません。
というか、これを活用できる事業者様が市場競争でも勝っている印象です。
再生M&Aというのは、通常のM&Aと異なり業績が芳しくない企業を私的整理や法的整理を活用して債務カットを行い、M&Aを実行するものになります。
こうお伝えすると、大抵の方は赤字の会社だとわかると思考停止となって検討をやめてしまうのですが、本当にもったいないことです。
今、事業承継という言葉が一人歩きしているところがあって、M&Aを検討している事業者の中には、M&A=美味しい話では?と先入観があるのかもしれませんが、実際のところそんなものはなく、自社の目線で堅実にM&Aをするかどうかの見極めができるかが重要です。
再生M&Aは、この“堅実”という点において非常に優れた手法になり得ます。 次項でそのメリットについて説明していきます。
再生M&Aのメリット
(1) 事業を格安で取得できる
まず、再生M&Aのメリットの一つに、事業を格安で取得出来るという点があります。
通常のM&Aで同様の事業体を買収する時に必要な費用と比較すると、再生M&Aは下手すれば半値以下で取得することが可能です。
更に、その対象事業単体で考えても、その対象事業が買収時の規模感になるために必要だった金額以下で取得することも出来ます。
なぜそうなるのかと言いますと、一般のM&Aと異なり再生M&Aの対価の考え方は清算価値がベースになるためです。
一般的なM&Aは、純資産+営業権をベースにしたりCFをベースにしたり、取引事例をベースにするなどします。
これは、株主のメリットを追求するがためのものになり、企業が継続することを前提とした価値の付け方になりますが、再生M&Aの場合は交渉相手が株主ではなく銀行や取引先などの債権者となるため、清算価値をベースとした経済合理性がキーになるのです。
清算価値は、その会社が今事業を止めて精算をしたらいくら残るのか、という点で会社の価値を算出します。
再生M&Aにおいてはこれが買収価格のベースになるので、通常のM&Aで利用される評価方法と比較すると格安になります。
更にもし、対象会社が不動産を保有していれば、その不動産も安価で取得できる可能性があります。
なぜなら、事業に紐付く不動産はその事業の収益力が評価のベースとなるためです。
ここまでお話しすれば、通常のM&Aと比較して再生M&Aは格安で事業取得が可能であることがお分かりいただけると思います。 事業を安価で買収でき、更に不動産という担保まで付いているという状態が、再生M&Aの場合作ることができます。
(2) 経営人材を作る機会になる
再生M&Aを検討すべき2点目のメリットは、経営人材を作る機会が得られることです。
事業承継をお考えになる経営者の動機で最も多いのは、後継者不在です。
ところが、買収側に経営者人材がおらず、買収後も放置されているケースが実態として少なからずあるのではないかと現場にいて思うのです。
要するに、M&Aを実行して終わっていることが多い。
会社としては回っているから特段の統合作業も行われず、お互いメリットがあったのかわからないのでは、何のためにM&Aをしたのか分かりません。
一方で再生M&Aの場合は、対象会社のBSは綺麗になりますがPLに課題があるケースが殆どで、半ば強制的にその事業の活用方法を考えねばならないのです。
現場に行く回数が増えるので鍛えられることになりますし、目利き力が上がっていくはずです。
再生M&Aは、M&Aを行うことで自社の事業領域を広げながら、人材育成もできる一石二鳥になり得ます。
(3) 債権・債務の特定がしやすく判断がしやすい
再生M&Aの特徴として、簿外債務を遮断しやすいという特徴があります。
勿論、対象会社の状況によって取り得るスキームが変わってくるので、全ての簿外債務を確実に遮断できるとまではいかないですが、再生M&Aでは第2会社方式を採用するケースが殆どだと思いますので、簿外債務や問題になりそうな債務を遮断しやすく、DDも安価でできる特徴があります。
つまり、本当に必要な事業DDに時間を割くことができる。
DDで最も重要なDDは事業DDだと私は思っていて、これを行うことで対象事業をどのように活かしていくのか、検討する事ができます。
終わりに
いかがでしたでしょうか?皆様のM&A戦略が良いものとなるよう、ぜひ参考になさってみてください。