会社を売りたいと思ったら
こんにちは。物語工房の岡村です。
今日は会社を売りたいと思った時、M&Aを活用すべきかどうかについてお答えしたいと思います。
いろんな年代の経営者とM&Aのお話をする中で、あくまでも小職の経験則になりますが、上手くいった人やいかなかった人には傾向があると思っています。
その違いはどこにあるのかを整理しながら、M&Aを活用して会社を売るタイミングはいつが良いのか、少しでも売却額の価格を高めるにはどうすれば良いのか、M&Aのアドバイザーはどういう人物が適任だと思うのか、小職の考えをお伝えします。
是非、参考になさってください。
会社を売るべきタイミング
会社を売るべきタイミングがあるとしたら、それは、ご自身の中でその会社でできることはやり切った状態であるということに尽きると思います。
やり残しがあるといった未練がある状態では、売却活動中にやっぱりM&Aの検討を止めがちだからです。
M&Aの検討を途中で止める最も大きな原因は、売却金額が折り合わないことになるのですが、売主の気持ちの根っこをヒアリングしていくと、実際に評価額を聞いた上で自分ならこれくらいの売却額なら数年で確保できると思っているように見える。
つまり、割に合わないと思っているように感じるのです。
勿論、M&Aのプロセスの中で妥協を迫っているわけではありません。
しかしながら、自分の会社を売らねばならない明確な理由がある状態になっていないと、M&Aをするという決断に至らず、やはり自分で引き続き経営を行うケースが多い傾向があります。
途中でM&Aの検討を止めた売主の希望価格は、買手候補者から提示された金額と極端に乖離していることがないので、やはり気持ちの面でやり切ったという思いがとても大事なのだと考えています。
実際に小職のこれまでの経験で事業承継をされたお客様をみていくと、これは30代の社長様もそうだったのですが、共通していることは、明確にご自身でM&Aをすると決断された方達でした。
売却ありきで会社を立ち上げた方というより、会社経営をやっていく中で体調の問題を抱えたり、ご自身の人生設計の中で今が売り時と決断をなされている印象です。
ですから、自分の会社を売ると検討されるのであれば、自分でできることはやった、もしくは人生設計の中でこうしなければならないからというところまで、一度整理なさってみてください。
その上で、本当にM&Aのプロセスを進めるかどうか決断なさることを強くお勧めします。
会社の売却は必ず能動的に行わねばならない
では、ここからは、少しでも良い金額で会社を売る可能性について、どのような方法があるのかを考えてみたいと思います。
一円でも高く会社を売り切りたいとお考えなのであれば、必ずM&Aのプロセスは能動的なものとしましょう。
つまり、下準備は事前に全て行うということです。
なぜこれが必要なのかというと、よくM&A仲介業者からのDMで自社を買収したい先があるから話を聞いてほしいというものがありますが、これで話を進めてしまうと俎板の鯉になってしまうからです。
勘違いされている経営者が多いのですが、自分の会社がなぜ儲かっているのかについて会計資料をどれだけ分解しても分かりません。
会計情報というのは、会社という組織に属する人々が目的を持って行動した結果を示す言語であり、Aという取引先が儲かってますねといったことは分かりますが、それがどうしてかはそれだけ見ても分からないものです。
会社は、自社の保有する”収益力の源泉”というものを使って日々商売をしているのですが、それは実績や信頼、人のキャラクター等の定性的な情報であって、これは会計情報だけを眺めても絶対に分からないのです。
だから、これについては売主が整理をした上でM&Aのプロセスに載せなければ、気がついたら不利な価格で交渉を畳み掛けられることが容易に想像できるかと思います。
M&Aで良い会社と評価されるためには
会社の保有する”収益力の源泉”は、会計情報を眺めるだけでは絶対に分からないと説明しました。
では、ここからM&Aで会社を売る場合、どのような情報を整理するべきか考えてみましょう。
会社を売ると決めた場合の準備で特にしなければならないことは、内部環境分析だと思います。
内部環境分析は、他社と比較して自社がどの点で優れているのか、もしくは特徴があるのかを整理することです。
あくまでも「中小企業のM&Aにおいて」とは思いますが、多くの経営者にとって外部環境を常日頃意識して経営してきたというより、その場その場で自分がやりたいことや顧客が求めることをやってきたという方の方が多いでしょう。
そうであれば、自社の内部環境分析に重きを置くべきだと思います。
内部環境を分析する上で意識して欲しいことは、自社の仕入から納品までのプロセスを一つ一つ分解しながら、誰がどのように介在しているのか、取引先との関係性は誰が作ったのかを整理することです。
これを行うと、自社の優位性が分かりやすく見えます。
ある会社では、仕入先との関係性を調べていくと、仕入先の社長が自社を成長させてくれたのはあなた達のおかげだと思ってくれていて、だから支払サイトを長く設定してくれていたり、優先的に商品を卸してくれているということが分かりました。
ここで大切なことは、こういった定性情報が会社に紐づいたものなのか、属人的なものなのかまで見極めることです。
事実をきちんと整理するということに重点を置き、自分の会社が仮に売却した後もどういう状況でなら自走できるのか、もしくは課題があるのかという点で分析を行いましょう。
ちなみに、属人的であればダメということはないので安心してください。
分かった事実を元に、最終契約書に落とし込む作業をすれば問題ありません。
勿論、分かった事実が買主にとって納得できるものかは話し合いで決まりますが、そこはM&Aに限らず商売では当たり前の交渉ごとだと思います。
この作業を繰り返すことで、会計情報が論理に裏打ちされた強固なものとなりM&Aでの売却活動に役立つことでしょう。
M&Aのアドバイザーを起用するなら
最後に、M&Aのアドバイザーを起用するなら、どのような人物がふさわしいのでしょう
か。単に経験といっても、業界歴が長いことが優秀であることを示すわけでもないし判断が難しいところです。
勿論、会社を売りたいと思う全てのお客様は売主様完全無料で対応して事業理解も徹底する弊社を使わない理由がないと小職は思ってますが笑。
真面目に小職が会社を売る場合、誰に相談するかを考えてみます。
小職の基準を申し上げるならば、下記を参考にされるとよろしいかと思います。
- 再生M&Aの経験があること
- 売却側のM&Aの経験が複数あること
- 人物として真っ当であること
再生M&Aの経験があることは絶対条件にしたいというのが、小職の見解です。
再生M&Aというのがどのようなものかというと、法的整理や私的整理などの金融債権を整理する前提でM&Aを行うものです。
これを検討する会社というのは、基本的にPLも苦しい状況に陥っている会社が多く、M&Aのアドバイザーとしての腕が強く試されるものなのです。
M&Aアドバイザーがその会社を売るためには、事業の最小単位まで分解して収益力の源泉がどこにあるのか、可能性がありそうかどうかを詰めて考えなければなりません。
一方、通常のM&Aであれば、そこまで考えなくても右から左に流そうと思えばできます。
再生M&Aの場合は、会社を売却するためにそれが許されないから、必然的に最小単位まで考える癖がつきます。M&Aを依頼するなら、この経験がある人にすべきでしょう。
次に売却側のM&Aの経験が複数回あることです。
え!?と思われる方も多いかと思うのですが、会社によって買い手のアドバイザーと売り手のアドバイザーを分けていることがあります。
買い手側のアドバイザーというのは、そこまでやることがないのです。
売却側から出てきた情報を持って買い手に伝えることが主な仕事になるので、売主と直接やりとりする機会が必ずしもあるわけではなく、対象事業への勘所が弱くなりがちなのです。
だから、売却側のアドバイザー経験が複数回あることがマストです。
最後に、人物として真っ当であるかです。
私どもの仕事は黒子であって目立ってはいけないと思っています。
そして、事業というものが好きでそこに携わる人への共感力、想いを汲むことができる能力があるかどうか。
こればかりは相性があるので、依頼をする上で色んな業者に面談することをお勧めします。
最後に
いかがでしたでしょうか?今回は会社を売りたいと思った時に考えて欲しいポイントについて書いてみました。
是非、参考になさってください。